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予防接種



当院でワクチン接種をご検討の方へ

ぽっけキッズクリニックの乳幼児健診・予防接種の予約はこちら

あっぷりけキッズクリニックの乳幼児健診・予防接種はお電話、窓口で承っています。

当院の取り扱いワクチン

※お支払いは現金またはクレジットカードが利用可能です。

予防接種にお持ちいただくもの

定期接種の場合は必ず横浜市から配布されている予診票を持参してください。任意接種の場合は当院に予診票がございます。インフルエンザワクチンはWEB問診をご利用ください。
母子手帳
現在服薬しているお薬がある場合はお薬手帳など

ワクチン接種前の注意

ワクチンは体調の良い時に接種すべきです。でも、ちょっとした咳や鼻水程度で、発熱がなければ医師の判断で多くの場合は接種が可能です。また、内服中の薬がワクチンに影響してしまうことも殆どありません。薬を使用中でも接種ができます。事前にご相談ください。
インフルエンザワクチンなど一部のワクチンは製造の過程でごく微量の鶏卵の成分が使用されています。卵のアレルギーがある場合にこれらのワクチンを接種するときには注意が必要ですが、鶏卵をはじめ大部分の食物アレルギー児はすべてのワクチン接種が可能です。はじめから接種をあきらめるのではなく事前にご相談ください。
接種当日は子どもの体調をよく確認し、自宅で一度検温を済ませてください。自治体などから配布されている「予防接種のしおり」などに目を通して、今日接種を受ける予定のワクチンについて注意点などを今一度ご確認ください。

ワクチン接種後の注意

ワクチン接種後に接種部位をもむ必要はありません。ワクチン接種後30分くらいは安静にして、異常があった場合はすぐに医師に連絡がつくようにしておきましょう。1時間程度異常がなければ普段通りの生活をして頂いて大丈夫です(公園で遊んでも、保育園に連れていって頂いてもOKです)。入浴や食事も制限はありません。
ワクチン接種当日から翌日に発熱を認める場合があります。多くは24時間程度で解熱しますが、元気がなく哺乳が悪い場合などは受診してください。接種部位の発赤や腫れが出現する場合がありますが、子どもが強く痛がる様子がなければあまり心配はいりません。患部を冷やしてあげるなどの対処で痛みや痒みを和らげることができます。

ワクチンの副反応

ワクチンの副反応が疑われた多くの症状(突然死や脳障害、四肢の麻痺や疼痛など)は実際にはワクチンと関連のない紛れ込みが殆どです。もちろん副反応のない医薬品はありませんから接種後の経過観察など丁寧に行う必要はありますが、健康な子どもであればあまり心配しすぎる必要はありません。副反応の多くは接種部位の腫れや一過性の発熱などです。多くは2~3日で軽快します。

アナフィラキシー

副反応のうち最も注意しなければならないのがアナフィラキシーというワクチン接種に伴うアレルギー反応です。多くは接種直後から数時間以内に症状が現れます。急に元気がなくなったり、嘔吐を繰り返したり、ゼーゼー呼吸が苦しそうな時は直ちに受診するようにしてください。

ワクチンの重要性

VPDはワクチンで予防しましょう

乳幼児期にはさまざまな感染症に罹患します。感染を繰り返すことによって免疫をつけて病気にかかりにくくなってゆきます。しかし、子どもがかかる病気はすべてが風邪のように軽いものばかりではありません。一部は重篤な後遺症を残したり、時に命を落す場合もあります。ワクチン接種が勧められている病気は医療が進んだ日本においても確実な治療法が存在していないものばかりです。
ワクチンのもう一つの目的は皆が接種することで地域の病気にかかりやすい人たちを守るということです。接種率が向上することで社会に病気が流行することを防ぐことができます。
このようなワクチンのはたらきを集団免疫と呼びます。ワクチン接種が難しい赤ちゃんや妊婦さん、高齢者への流行を抑止することができます。以前は大きな流行を繰り返していた麻疹(はしか)が、皆がワクチンを接種することで減少し、国内においては平成27年に排除状態にすることができました。ワクチンで予防可能な病気(VaccinePreventableDiseases:VPD)は積極的にワクチン接種で防いでゆきましょう。

生後2か月を迎えたらワクチンデビューを

医療の発達した日本でも毎年多くの子どもたちがワクチンで予防できるはずの病気(VPD)に感染して重い後遺症で苦しんだり、命を落としたりしています。特に生後6か月を過ぎるとお母さんからもらった抗体が減少して病気にかかりやすくなります。それぞれのワクチンが接種可能な年齢に達したらできるだけ速やかに接種を開始すべきです。

当院が推奨するワクチンスケジュール

「VPDを知って、子どもを守ろう。」のサイトが非常にわかりやすく予防接種とスケジュールを紹介しています。当ホームページやVPDのサイトを参考にしてください。

以下に各年齢ごとのワクチンの要点をまとめました。VPDのサイトのスケジュール表などを見ながら読んでいただけるとわかりやすいと思います。

特に乳児期には接種すべきワクチンが非常に多く大変です。赤ちゃんが生まれたらできるだけ早く接種すべきワクチンや、スケジュールをご検討いただき、分からない事があれば当院までご相談下さい。

乳児の予防接種

◎基本的な事項

・生後2か月になったら速やかにワクチン接種を開始します。
・五種混合ワクチン(四種混合+ヒブ)、肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスなど多くのワクチンで同一ワクチン同士の接種間隔が決められています。ご予約の際にはこの間隔に注意してください。
・できるだけ同時接種を行なって来院回数を減らした方が院内での感染のリスクなどを軽減できます。ワクチンをバラバラに接種したら副反応のリスクが軽減するわけではなく、むしろスケジュール管理が難しくなり誤接種の原因になります。
・「4から5週間の間隔で毎月1回接種する」とするとスムーズです。

◎お勧めのスケジュール

・生後2か月になったら速やかに五種混合、肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスワクチンを同時接種します。
・生後3か月(前回接種から4から5週間の間隔をあけて)五種混合、肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスを同時接種します。
・生後4か月(前回接種から4から5週間の間隔をあけて)五種混合、肺炎球菌、ロタウイルス(ロタテック)を同時接種します。
・生後5か月を迎えたらBCGを接種します。
・生後8か月頃にB型肝炎の追加接種(B型肝炎の2回目と追加接種は4から5か月の間隔で接種するのがお勧めです。多分スケジュール通りに予防接種が進んでいれば前回のB型肝炎から4か月以上空いているかと思います)。またB型肝炎の追加接種と一緒に個別健診(7か月健診)を済ませてしまうのがスムーズです。

これで乳児ワクチンは終了です。ご家族みなさん、お子様頑張りましたね!

幼児(1歳から)の予防接種

◎基本的な事項

・1歳を超えるとお子様の活動範囲も広がり、保育園に通い始める子も増えます。1歳のお誕生日を迎えたら速やかにMR、水痘、おたふくかぜ(任意)の接種を済ませましょう。いずれも感染力が非常に強く、合併症が怖い病気です。
・おたふくかぜは軽症で済むことが多いですが感染者の1000人に1人程度の割合で難聴をきたします。時には両側生で治らないことも多いです。ワクチンを2回接種すればほぼ感染を回避できます。任意ですがぜひ皆さんに接種してもらいたいワクチンです。
・3歳を過ぎたら日本脳炎ワクチンを開始します(ご希望の場合は3歳前でも接種可能です)。
・当院では小学校入学前(年長さんの頃)の三種混合、不活化ポリオワクチンをお勧めしています(任意接種)。

◎お勧めのスケジュール

・1歳のお誕生日を迎えたら速やかにMR、水痘、おたふくかぜ(任意接種)を同時接種します。12か月の個別健診と一緒に済ませるのが便利です。
・生後13か月頃に五種混合(これまで四種混合、ヒブで接種されてきた方は四種混合、ヒブで接種してください)、肺炎球菌の追加接種をします。五種混合、四種混合は3回目の接種から6ヶ月以上、ヒブは7ヶ月以上、肺炎球菌は2ヶ月以上の間隔を空けます。
・水痘ワクチンの初回接種から6か月後に2回目を接種します。
・3歳になったら日本脳炎ワクチンの接種を開始します。1回目と2回目の間隔は3〜4週間。2回目と3回目の間隔は1年が目安です。
・おたふくかぜワクチン(任意接種)の1回目と2回目の間隔は3〜5年です。4歳を過ぎたら日本脳炎ワクチンの3回目とおたふくかぜワクチンの2回目を同時に済ませ流のが便利です。
・年長さんになったらMRワクチンの2回目を接種します。また同時に三種混合ワクチン(任意接種)、不活化ポリオワクチン(任意接種)を検討してください。

学童(小学校入学から)の予防接種

◎基本的な事項

・子どもたちの予防もいよいよ仕上げの時期を迎えます。
・女の子は忘れずにHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)も接種しましょう。

◎お勧めのスケジュール

・9歳になったら日本脳炎のII期(4回目)を接種します。
・11歳になったらDTを接種します。
・女の子は小学6年生になったら(横浜市から予診票が届いたら)HPVワクチンを接種します。2024年現在、予診票は中学1年生頃に配布されています。

ワクチンで予防可能な病気(VPD)とワクチン

ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチン(定期接種)

乳幼児期にかかりやすい細菌性髄膜炎や敗血症の予防ワクチンです。ヒブ(インフルエンザ菌B型)、肺炎球菌には抗生物質が効きにくいものが多く治療が困難です。
両ワクチン導入前、国内においても年間1,000人程度の子どもたちが重篤な細菌性髄膜炎に罹患し、一部の子は命を落としていました。また回復後も多くの子どもが後遺症を残しました。両ワクチンの接種率が向上した現在、重篤なヒブ感染症、肺炎球菌感染症は減少しています(2014年以降ヒブ髄膜炎の届け出は0件になりました。重症肺炎球菌感染症は約4割減少しました)。
ただ、細菌が消滅したわけではありませんので接種をしなければこれらの病気のリスクがあります。

※ 2024年よりヒブワクチンは四種混合ワクチンと一緒になり、五種混合ワクチンとして接種されています。

推奨される接種スケジュール

生後6か月を超えると感染リスクが高まるため生後2か月を超えたらできるだけ速やかにワクチン接種を開始します。初回接種は3回、生後6か月までに3回の接種を済ませましょう。1歳を超えたらできるだけ速やかに追加接種を済ませます。

四種混合・五種混合ワクチン(定期接種)

四種混合ワクチンは百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、ポリオウイルスの混合ワクチンです(五種混合ワクチンは四種混合ワクチンにヒブが加わります)。
百日せきは近年、年長児や成人の感染が増加し、年間1万人くらいの方が発症していると考えられています。ただ成人の場合、咳が長引く程度で百日せきと気が付かない場合も少なくありません。そのような方を介して赤ちゃんが感染してしまうことが問題になっています。咳が出るときはあまり赤ちゃんに近づかないで下さい。赤ちゃんが罹患すると重篤な呼吸困難や脳症の原因となる場合があります。

ポリオ(急性灰白随炎)はワクチン導入以前、国内においても大き流行が認められていました。ポリオウイルスに感染すると感染者の一部は手足に麻痺が生じます。この麻痺が一生の後遺症として残ることがあります。またその一部の人が、数十年後に突然、疲労、痛み、筋力低下などに悩まされることがあり、これはポストポリオ症候群(PPS)と呼ばれています。世界中でポリオワクチンが接種され、ポリオの感染者は減少しました。日本においても30年くらい前からポリオの野生株による感染はありません。しかし海外の一部の国では依然として野生株による感染者が発生しています。これらの国からポリオウイルスが持ち込まれる可能性があり、ワクチンを接種することは重要です。2012年9月からポリオワクチンは生ワクチンの経口接種から、現在の不活化ワクチンに変更されました。まれに(70万接種に1人位)認められていた生ワクチン接種後の麻痺(VAPP)は、現在の不活化ワクチンでは発生することはありません。

 

小学校入学前に三種混合ワクチン(任意接種)・不活化ポリオワクチン(任意接種)をおすめしています

四種混合・五種混合ワクチンで予防することができるジフテリア、破傷風、百日せき、ポリオですが、小学校入学頃になると徐々にその抗体が低下してきていることが解ってきました。実際、百日せき患者の多くが小学生〜中学生です。これを予防するために小学校入学前に三種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日せき)および不活化ポリオワクチンの追加接種をお勧めしています(任意接種)。また11〜12歳で接種する二種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風)(定期接種)を三種混合ワクチンに変更することもできます(任意接種となります)。

推奨される接種スケジュール

生後2か月からワクチン接種が可能です。特に百日せきの感染リスクが高いために生後2か月を過ぎたらできるだけ速やかに接種を開始します。初回接種は3回です。初回接種完了後、6か月以上間隔をあけて追加接種を行います。当院ではヒブや肺炎球菌の追加接種と一緒に生後12~13か月の追加接種を推奨しています。

小学校入学前に三種混合ワクチン(百日せき、ジフテリア、破傷風)および不活化ポリオワクチンの追加接種をお勧めします(任意接種)。11歳を過ぎたら二種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風)を接種します(定期接種)。二種混合ワクチンを三種混合ワクチンに変更することができます(任意接種)。

B型肝炎ワクチン(定期接種)

小児、成人を合わせて国内で毎年2万人程度が感染していると考えられています。B型肝炎ウイルスに罹患すると軽い風邪程度の症状の場合もありますが、急激に増悪した場合には生命の危険があります(劇症肝炎)。慢性に経過した場合は肝硬変、肝臓がんの原因となります。また、感染後ウイルスがからだに残って(キャリア化)周囲のひとや、さらに次の世代に感染を広げてしまう可能性があります。特に乳幼児期にB型肝炎に感染してしまった場合にはこのキャリア化のリスクが高くなります。B型肝炎ウイルスにはいくつかの種類がありますが、最近は海外から遺伝子型Aと言う種類のB型肝炎ウイルスが持ち込まれて、成人においてもキャリア化するケースが増えてきました。
以前はお母さんがウイルスを保有していると出産時に血液を介して赤ちゃんが罹患すると考えられていました。現在は血液以外の体液(汗や涙、唾液、精液など)を介して母親以外の人との接触でも感染するリスクがあることが確認されており、保育園など集団生活の場でも感染するリスクがあります。仮に近親者にB型肝炎の患者さんがいなくてもすべての赤ちゃんがワクチンによる予防が必要です。

推奨される接種スケジュール

B型肝炎ワクチンは生後どの年齢からでも接種を開始することができます。当院では生後2か月から五種混合、肺炎球菌、ロタウイルスワクチンなどとの同時接種を推奨します。初回接種2回、その後4~5か月の間隔をあけて追加接種を行います(定期接種として接種する場合は1歳のお誕生日までに3回の接種を完了する必要があります)。

ロタウイルスワクチン(定期接種)

ロタウイルスは乳幼児の胃腸炎の主な原因です。嘔吐、下痢、発熱などの症状を認めます。冬から春にかけて流行し、「白っぽい下痢」、「酸臭の下痢」としてよく知られています。世界では年間約53万人の子どもたちが命を落としているという報告があります。日本でも6歳未満の小児のうち年間約80万人が外来受診していると予想され、うち10%程度が脱水をきたし、入院治療を要するケースも少なくありません。脳炎や腸重積症、腎不全などの重篤な合併症が存在するのも特徴です。仮に重症化しなくても嘔吐や下痢が長期間持続するため患者と介護する保護者の負担も大きい病気です。ロタウイルスは伝染力が非常に強く、感染者の便から数週間から1か月程度排出されます。
ロタウイルスワクチンは現在2種類が存在しています(ロタリックスとロタテック)。どちらのワクチンも有効率は非常に高く、80%以上の確率で感染を防止し、90%以上の確率で重症化を防ぐと予想されます。何れも生ワクチンで経口接種します。両者の特徴は以下のとおりです。

ロタテック:3回接種。対応するウイルス株は5種類で、より多くの種類のロタウイルスに対して抗体を獲得することができます(当院ではロタテックを推奨しています)。
ロタリックス:2回接種。対応するウイルス株は1種類ですが、それ以外の株に対しても発症を抑えることができます。2回の接種で済むため短期間で抗体を獲得することができます。

ロタウイルスワクチンの接種後10%程度の確率で下痢が認められます。ロタウイルスワクチンが初めて使用された際、腸重積症の報告が増加しました。現在使用されているものとは別のワクチンであり、ロタリックス、ロタテックに関しては腸重積症の患者が有意差をもって増加したとの報告はありません。ただ、ロタウイルスワクチンを使用する際には、有効性とともに腸重積症の症状(激しく間欠的な啼泣、嘔吐、血便)を理解して子どもたちの体調変化に気を配る必要があるでしょう。ワクチン使用後、特に1週間位は体調の変化に気をつけて下さい。

推奨される接種スケジュール

生後6週以降から接種が可能となりますが、当院では生後2か月から五種混合、肺炎球菌、B型肝炎ワクチンなどとの同時接種を推奨しています。生後14週6日までに初回接種を開始する必要があります。

BCG(定期接種)とコッホ現象

結核菌は患者の咳などから飛沫感染します。国内では毎年2万人以上が結核に感染しいると考えられます。国内における結核の罹患率はアメリカの約5倍で、以前に比べて結核患者は減少したとはいえ依然として注意を要する感染症です。
小児が感染すると時に重篤な肺結核、髄膜炎を発症することがあります。
BCGは細い9本の針を皮膚に押しつけるスタンプ方式の予防接種です。接種後2~3週間頃から針跡が赤く、ぽつぽつと腫れて膿が出ることもありますが、数か月で自然に治ります。このような通常の反応よりも早く、接種後3~10日以内に針跡が強く腫れたり膿んだりするようなら、接種前から結核に感染していた可能性があります(コッホ現象)。
あわてずに数日以内にワクチン接種をした病院を受診してください。

推奨される接種スケジュール

赤ちゃんの結核感染のリスクはあまり高くありませんから五種混合ワクチン、肺炎球菌やロタウイルスワクチンなどを優先的に接種し、これらのワクチン接種がひと段落した生後5か月から7か月頃の接種がお勧めです。

MR(麻しん風しん混合)ワクチン(定期接種)

麻しんは「はしか」と呼ばれるウイルス感染症です。約10~12日の潜伏期の後に発熱(一般的に39度以上の高熱)、咳、鼻汁といった症状を認めます。4日程度で少し熱が下がるのですが、再び高熱が出現(2峰性の発熱)し同頃に体に発疹と紅斑が出現します。
体の発疹が出現する少し前に頬の粘膜に白色のポツポツとした発疹を認めることがあります(コプリック斑)。患者の3割が、合併症を起こすとされ、多いのは肺炎や中耳炎です。また1,000人に1人が脳炎を起こし後遺症が残り、死に至ることもあります。また、10万人に1人くらいというまれなケースですが、感染後、数年から10年ほど経って、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる脳炎を発症し、知的障害や運動障害が進行していくことも報告されています。
伝染力が非常に強いのも麻しんの特徴です。空気感染し、電車の中や、職場など同じ空間に麻しんの感染者がいるだけで感染する可能性があります。その伝染力はインフルエンザをも大きく上回ります。
2015年、WHOにより日本は麻しんの排除状態にあることが確認されました。
しかし、2016年、旅行者により海外から持ち込まれた麻しんが関西や千葉県で大流行したのは記憶に新しいところです。

風しんは2~3週間の潜伏期の後に発熱や発疹、リンパ節腫脹を認めるウイルス感染症です。患者さんの咳などから飛沫感染します。症状は比較的かるく予後は良い感染症ですが、まれに血小板減少性紫斑病、脳症などを合併することがあります。2000人から5000人に1人くらいの割合でこれらの合併症が発生すると言われ、2013年の風しん流行時には国内で13人の風しん脳炎、64人の血小板減少性紫斑病が報告されました。
妊娠20週頃までの妊婦さんが感染すると出生児が難聴、先天性心疾患、白内障、発達障害をきたす場合があります。これを先天性風疹症候群(CRS)と言います。2013年の風疹の大流行の後、CRSの赤ちゃんが急増しました。2013年には32名のCRSの赤ちゃんが報告されいています(例年のCRSの発症数の報告は数名程度です)。

推奨される接種スケジュール

MR(麻しん風しん混合)ワクチンで予防します。ワクチンを接種しておけば、かかったとしても重症になることはまずありません。定期接種では1歳と小学校入学前に2回受けます。ただし、地域で流行の懸念がある場合は生後6か月からの接種をお勧めします(1歳未満の接種は任意接種となります)。
成人でも2回のMRワクチンが済んでいない場合は、ぜひ接種をご検討ください(任意接種。横浜市では公費による助成制度が活用できる場合があります。ご相談ください)。

水痘ワクチン(定期接種)

水痘(みずぼうそう)は水痘帯状疱疹ウイルスによって発症します。感染力が非常に強く、ワクチンを接種しないと5歳までに約8割の小児が感染するといわれます。2~3週間の潜伏期の後に、38度台程度の発熱、発疹(赤みを伴う丘疹、水疱)を認めます。発疹には強い痒みを伴います。発症2~3日程度で解熱し、1週間程度で発疹は痂皮(黒いかさぶた)になり治癒します。
健康な小児では比較的軽症で済みますが、成人では時に重症化して死に至る場合もあります。合併症には肺炎、心膜炎、髄膜炎、血小板減少性紫斑病などがあります。また皮膚を搔爬してしまうと伝染性膿痂疹(とびひ)など二次感染を起こす場合があります。
平成26年10月に水痘ワクチンが定期接種化され多くの子どもたちがワクチンを接種するようになりました。それまでは日本国内で年間100万人くらいいると予想された患者数は定期接種導入後劇的に減少しました。

帯状疱疹もまた、水痘帯状疱疹ウイルスが原因で発症します。帯状疱疹とは、体の片側に強い痛みと痒みを伴う発疹が出現する病気です。時に痛みが長期間に及ぶことがあります(帯状疱疹後神経痛)。水痘に罹患するとウイルスは完全に排除されることはなく、一部は私たちの神経節という場所に潜伏し続けます。
水痘の既感染者が、ストレス、疲労や加齢、特定の病気の治療を受けて、水痘帯状疱疹ウイルスに対する抵抗力が落ちると、潜伏していたウイルスが再び活性化して帯状疱疹を引き起こします。
帯状疱疹は抗体が維持されていれば、仮にウイルスが神経節の中に残っていても発症しません。これまでは毎年多くのひとが水痘に罹患していましたから、知らぬ間に水痘の患者と接触することで免疫力が高まり(追加免疫)帯状疱疹を発症することも防がれていました。子どもたちと多く接触する保育園の先生には帯状疱疹が少ないというのはよく知られている話です。
ただし、今後水痘の患者が減少するとこの追加免疫を得ることができなくなり、水痘の既感染者の中に帯状疱疹の発症率が増加すると思われます。帯状疱疹を予防するには、まず水痘に罹患しないようにしっかりとワクチンで予防することが最も重要です。

推奨される接種スケジュール

水痘ワクチンは2回接種します。定期接種の対象年齢は1歳と2歳です。1歳をすぎたらできるだけ速やかに初回接種を済ませて(当院の推奨はMRワクチン、おたふくかぜワクチンと一緒に)、3か月以上経過したらできるだけ速やかに2回目を接種します。
※定期接種の機会を逃してしまった場合も任意接種として合計2回の接種をお勧めします。

おたふくかぜワクチン(任意接種)

おたふくかぜはムンプスウイルスによる感染症です。日本では毎年約60万人が発症しています。軽症の場合が多いのですが、重い合併症を引き起こす場合があります。2~3週間の潜伏期の後に、両側あるいは片側の耳下腺や顎下腺が腫れます。腫れと同じ頃から発熱を認めますが、時に発熱を伴わないこともあります。この症状は起こる場合と、起こらない場合があります。
発症から5日間が経過し、全身状態が良好になるまでは出席停止となります。ムンプスウイルスに感染しても症状が出ない(不顕性感染)場合もあります。
おたふくかぜには多くの合併症があります。約50人に1人の割合で無菌性髄膜炎が起こります。症状は発熱、強い頭痛、嘔吐です。約1,000人に1人の割合で感音性難聴を発症します。片側性、両側性の場合があり、発症してしまうと聴力の回復は困難です。その他、精巣炎、卵巣炎、膵炎などその合併症は様々です。

推奨される接種スケジュール

多くの国では2回の定期接種が行われています。1回の接種では効果は不十分で、当院でも2回接種をお勧めしています。1歳を過ぎたらできるだけ速やかに初回接種を済ませて(MRワクチン、水痘ワクチンと同時)、3~5歳頃に2回目の接種を行います。遅くとも就学前までに2回の接種を完了します。

日本脳炎ワクチン

日本脳炎は蚊によって媒介されるウイルス感染症です。日本脳炎ウイルスはブタの体内で増殖して、ブタを刺した蚊に人が刺されることで感染します。日本脳炎ウイルスは日本をはじめ、熱帯、亜熱帯アジア地域、韓国やオーストラリアの一部の地域などにも存在します。世界で毎年6万人以上の患者が発生し最大で2万人程度が命を落としていると推計されています。

日本国内においても以前は年間1,000人以上の感染者が発生していましたが、現在は年間発症数は10人未満、主に関西で発生しています。平成27年、千葉県で乳児の日本脳炎の発症が確認されました。
静岡県などでもブタの日本脳炎ウイルスの抗体保有率が高いことが知られており注意が必要です。平成28年4月より北海道においても日本脳炎ワクチンが定期接種となりました。
日本脳炎ウイルスに感染すると100人から1,000人に1人が発症すると考えられます。発症すると急性脳炎となり高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれん等の症状を示します。発症した際の致死率は20~40%。生存者の40~70%に後遺症を残すと言われ、特に幼少児や高齢者では重症化のリスクが高くなります。

推奨される接種スケジュール

3歳からの接種が一般的ですが、感染のリスクが高い地域などでは生後6か月から接種が可能です。1~4週間隔で2回、2回目の約1年後に3回目を接種します。3回の接種で基礎免疫をつけたことになります。9~12歳に4回目の接種を行います。

インフルエンザワクチン(任意接種)

インフルエンザの主な症状は高熱、頭痛や咽頭痛、関節痛、咳や鼻汁です。発熱は無治療ではだいたい5日間くらい続きます。感染してから症状が現れるまでの潜伏期はだいたい2~3日程度と考えられます。
注意すべき合併症は肺炎と脳炎・脳症です。
意識障害、痙攣、異常行動(奇声をあげる、意味のわからない発言や行動など)の症状がある場合には直ちに受診が必要です。抗インフルエンザ薬(タミフルなど)と異常行動の関連が疑われましたが、現在はインフルエンザ感染自体が異常行動の原因と考えられています。発熱が続いている間は抗インフルエンザ薬の使用の有無にかかわらず、子どもを一人にせず見守ってあげてください。
迅速診断キットで診断が可能です。十分にウイルスが増殖していないと検査が陽性になりません。だいたい発熱後6時間で5割程度、12時間で8割程度が陽性になります。
抗インフルエンザ薬はインフルエンザウイルスの増殖を抑えて解熱までの期間を短縮する、合併症の発症を抑制する効果が期待されます。現在、使用可能な抗インフルエンザ薬には以下のものがあります。症状が改善しても途中で使用を中止することなく医師の指示通り最後まで使用することが大切です。発熱がつらい場合は解熱剤を使用します。小児の場合はアセトアミノフェンが主成分の解熱剤(アンヒバ座薬やカロナールなど)を使用します。

抗インフルエンザ薬の種類
  • 内服薬
    ・タミフル(1日2回、5日間内服します)
    ・ゾフルーザ(1回内服で効果が持続します)
  • 吸入薬
    ・リレンザ(1日2回、5日間吸入します)
    ・イナビル(1回吸入で効果が持続します)
  • 注射薬
    ・ラピアクタ(1回注射で効果が持続します)

現在インフルエンザワクチンには2種類があります。不活化インフルエンザワクチンと、弱毒生ワクチンで経鼻噴霧するワクチン(フルミスト)です。

フルミストは2024年10月に発売された新しいインフルエンザワクチンです(海外では以前から使用されて実績があります)。従来のインフルエンザワクチンに置き換わる訳ではなく、患者さん毎に選択して接種することになります(従来のインフルエンザ不活化ワクチンと、フルミストを両方接種する必要はありません)。フルミストの対象年齢は2歳から13歳未満になります。

フルミストはインフルエンザウイルスを弱らせて(弱毒化して)ワクチンとして用いる弱毒生ワクチンです。他に弱毒生ワクチンとしては麻疹・風疹ワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチン・ロタウイルスワクチンなどがあります。

生ワクチンの特性上、免疫機能に異常がある疾患に罹患している方、免疫抑制をきたす治療を継続中の方、妊婦の方は接種ができません。
フルミストと従来の不活化インフルエンザワクチの効果はほぼ同等と考えられています。

従来のインフルエンザワクチンとは異なり鼻に少量の液体を噴霧します。また従来のワクチンは13歳未満は2回接種ですが、フルミストは1回で接種が完了します。これまで注射が苦手でインフルエンザワクチンが接種できなかった方、来院回数を減らしたい方に選択してもらいたいワクチンです。
※ ただし、噴霧用の容器が注射器のような形をしているためお子さんによっては容器の形状や鼻に噴霧するというこれまでに経験のない医療行為に怖がってしまう子もいるかもしれません。投与量は左右の鼻に0.1mlずつとごく少量ですからしみたり不快な違和感はあまりないと思います。

 

不活化インフルエンザワクチン要項

対象年齢は生後6か月以上。13歳未満の方2回接種、13歳以上の方1回接種。

妊婦、授乳婦の方も接種が可能です。

 

フルミスト接種要項
対象年齢は2歳から18歳までの方(接種時に19歳未満)。1回接種
※ 同シーズンに従来のインフルエンザ不活化ワクチンを接種予定の方、接種を済ませた方は必要がありません。

フルミストの接種不適当者:含有成分であるゼラチンに対して重篤なアレルギー症状の既往がある方、免疫機能に異常がある疾患に罹患している方、免疫抑制をきたす治療を継続中の方、妊娠の可能性のある方。該当する方は従来のインフルエンザ不活化ワクチンを接種してください。

フルミストの当院が考える接種を推奨しない方:免疫機能に異常がある疾患に罹患している方や免疫抑制をきたす治療を継続中の方が同居している場合、妊娠中の女性が同居している場合。授乳中の方。既に本年度従来のインフルエンザ不活化ワクチンで接種を開始している方や完了している方。

推奨される接種スケジュール

インフルエンザの予防にはワクチン接種が大切です。集団生活をしている場合、ぜん息など基礎疾患がある場合、ご家族に小さなお子様や妊娠中の方がいる場合には積極的にワクチン接種を済ませましょう。不活化インフルエンザワクチンは生後6か月から接種可能です。13歳未満は2回接種、それ以上の方は1回接種です。妊娠中でも接種可能で母親がワクチンを接種すると生まれた赤ちゃんにも効果が期待できます。ワクチンの効果が現れるのは規定の回数の接種が完了してからだいたい2週間後からです。毎年10月頃から接種が可能となりますからできるだけ速やかに接種を開始し、遅くとも12月上旬までには接種を完了してください。

注射が怖い、できるだけ接種回数を減らしたいと考える場合はフルミストの接種を検討します(2歳から19歳未満)。

ただし免疫機能に異常がある疾患に罹患している方、免疫抑制をきたす治療を継続中の方、妊娠の可能性のある方などはフルミストの接種ができません。該当する方は従来のインフルエンザ不活化ワクチンを接種してください。

不活化インフルエンザワクチンとフルミスト、いずれを使用するか悩む場合は医師に相談してください。

髄膜炎菌ワクチン(任意接種)

乳幼児に多い細菌性髄膜炎菌の原因菌はヒブ(インフルエンザ菌B型)、肺炎球菌です。一方、学童期以降の細菌性髄膜炎の原因菌として重要なのが髄膜炎菌です。世界では毎年50万人が髄膜炎菌感染症を発症し、5万人が死亡していると推定されています。途上国以外でもアメリカやイギリス、オーストラリアなどでも多くの報告があります。国内での発症はこれらの国に比べると多くはありませんが、高校の運動部の寮で集団発生したケースなどがあります。発症した場合の死亡率は5〜10%と高率で24時間以内に命を落とす場合があるなど進行が非常に急速なのも特長です。

推奨される接種スケジュール

日本ではメナクトラというワクチンが接種可能です。髄膜炎菌には複数の株が存在します。このうち血清型A、B、C、Y、W-135が髄膜炎の原因となります。メナクトラはこのうち4種類の抗原(血清型A、C、Y、W-135)を含みます。
メナクトラは1回接種で2歳から接種が可能です。海外へ長期留学する場合や、高校や大学で寮生活をする場合などは接種が勧められます。

子宮頸がんワクチン(定期接種)

子宮頸がんは主に20歳台以降の女性に多く発症し、ほとんど自覚症状がなく気づきにくい病気です。日本では毎年約1万人位の女性が子宮頸がんと診断され、約3千人の方が命を落としています。発症年齢と妊娠や出産年齢が重なっているのも特徴です。小さな子どもを残して亡くなってしまうなど「マザーキラー」などと呼ばれることがあります。仮に初期で発見されたとしても、その後の妊娠や出産に影響してしまうこともあります。

子宮頸がんの95%以上は、発がん性のヒトパピローマウイルス(HPV)が持続感染することが契機で発症すると言われています。HPVの子宮頸部への感染はほとんどが性的接触によるものです。HPVに感染すること自体は特別のことではなく、全女性の約8割が50歳までに感染を経験すると言われています。通常は感染しても自然に排除されますが、感染が持続した場合は正常な細胞が徐々にがん細胞に変化して行きます。
尖圭コンジローマは、非発癌性HPV感染によって生じる男性、女性の生殖器にできるいぼです。稀に産道で感染して赤ちゃんの気道にいぼが発生し気道閉塞をきたす場合があります。

そのほか、HPV感染は中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんの原因にもなり、必ずしも女性だけが注意すべきVPDではありません。
国内では2013年4月にHPVワクチンが定期接種化されました。その後、ワクチン接種後の慢性疼痛と運動障害の報告が複数あり、2013年6月から2022年3月まで厚生労働省は「積極的な接種勧奨」を控えていました。

日本で子宮頸がんワクチンの接種が控えられていた同じ時期、海外では多くの国で子宮頸がんワクチンは定期接種として実施されてきました。この間、海外および日本でも多くの大規模で質の高い研究・調査が行われましたが懸念されるような有害事象の増加は認められませんでした(WHO報告より)。

オーストラリアの報告ではワクチン接種によりHPVの感染率が92%減少したと報告されています。またスウェーデンの報告ではワクチンを受けた女性の子宮頸がんの発症率が未接種の女性と比べて63%低下したと報告されています。

今や子宮頸がんはワクチンと適切な検診によって排除可能ながんと認知されつつあります。2024年現在、先進国では唯一日本だけが子宮頸がんが減少していない国(あるいは今後増加が懸念される国)になっています。

予防接種に伴う有害事象についてご不安があるのはもっともです。ご質問がありましたら当院にお寄せ頂き、是非子宮頸がんワクチンの接種をご検討ください。

推奨される接種スケジュール

推奨年齢は小学6年生~高校1年生相当の女子です。横浜市では中学1年生に予診票を郵送しています。中学1年生になったら初回接種を受け、1~2か月の間隔をあけて2回目、初回接種の3〜4か月後に3回目を接種します。

子宮頸がんワクチンは、HPVに感染する前(セクシャルデビュー前)に接種を済ませることが大切です。早めの接種をお勧めします。