インフルエンザは、インフルエンザウイルスによっておこるウイルス感染症です。主な症状は高熱、頭痛や咽頭痛、関節痛、咳や鼻汁です。発熱は無治療ではだいたい5日間くらい続きます。感染してから発熱などの症状が現れるまでの潜伏期はだいたい2~3日です。
●インフルエンザの合併症
注意すべき合併症は肺炎と脳炎・脳症です。意識障害、痙攣、異常行動(奇声をあげる、意味のわからない発言や行動など)の症状がある場合には直ちに受診が必要です。抗インフルエンザ薬(タミフルなど)と異常行動の関連が疑われましたが、現在はインフルエンザ感染自体が異常行動の原因と考えられています。抗インフルエンザ薬の使用の有無にかかわらず、お子さんを一人で寝かせたり、お留守番させたりすることなく見守ってあげてください。
●インフルエンザの診断
迅速診断キットでその場で診断が可能です。十分にウイルスが増殖していないと検査が陽性になりません。だいたい発熱後6時間で5割程度、12時間で8割程度が陽性になります。発熱後まもなくでも症状が強く、インフルエンザが疑わしい場合には検査の結果を待たずに抗インフルエンザ薬の治療を開始する場合があります。
●インフルエンザの治療
他の病気と同様に、インフルエンザの治療でも最も大切なことはしっかりと休養を取ることです。症状をよく観察しながら十分に水分をとらせて、汗などの対処をして休ませます(「よくあるご質問」の中の「発熱時のケア」を参照してください)。
症状が強い場合には抗インフルエンザ薬を使用します。抗インフルエンザ薬はインフルエンザの増殖を抑えてその症状を和らげる、解熱までの期間を短縮する、合併症の発症を抑制する効果が期待されます。でも、抗インフルエンザ薬はインフルエンザウイルスを殺すわけではありませんから過信は禁物です。
現在、抗インフルエンザ薬には以下のように複数の種類があります。症状が改善しても途中で使用を中止することなく医師の指示通り最後まで使用することが大切です。その他、一部の漢方薬などで症状を緩和することができます。発熱がつらい場合は解熱剤を使用します。小児の場合は必ずアセトアミノフェンが主成分の解熱剤(アンヒバ座薬やカロナールなど)を使用します。
※抗インフルエンザ薬の種類
・内服薬 タミフル(1日2回 5日間内服します)
・吸入薬 リレンザ(1日2回 5日間吸入します) イナビル(1回吸入で効果が持続します)
・注射薬 ラピアクタ(1回注射で効果が持続します)
●出席停止期間
インフルエンザの出席停止期間は以下のように決められています。
「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」
●インフルエンザの予防
インフルエンザが発症してからの抗ウイルス薬の投与では脳症などの合併症を完全に抑止することはできません。インフルエンザの予防にはワクチン接種が大切です。集団生活をしている場合、喘息など基礎疾患がある場合、ご家族に小さなお子さんや妊娠中の方がいる場合には積極的にワクチン接種を済ませましょう。インフルエンザワクチンは任意接種で生後6か月から接種可能です。妊娠中でも接種可能で、母親がワクチンを接種すると生まれた赤ちゃんにも効果が期待できます。ワクチンの効果が現れるのは2回目の接種終了後だいたい2週間後からです。流行前に接種を完了することが大切です。流行期には人ごみをさけて、マスク着用、手洗いうがいなど感染予防に努めてください。