夏に流行するウイルス感染症を総称して「夏かぜ」と呼ぶ場合があります。主なものは咽頭結膜熱(プール熱)、ヘルパンギーナ、手足口病です。患者の唾液などを介して飛沫感染、接触感染します。いずれも伝染力が非常に強いですから集団生活をしているお子さんは注意が必要です。
咽頭結膜熱(プール熱)
原因はアデノウイルスです。毎年プールの始まる頃から流行するため「プール熱」とよばれていますが実際にはプールに入っていなくても感染します。高熱の持続時間が長く脱水などに注意を要します。ウイルス感染ですので抗生物質は効果がありません。対症療法が基本です。学校保健安全法により出席には医師の指示が必要です。
主な症状
1.39~40度の高熱が3~7日間持続します。
2.同時に、喉の痛み、悪心、下痢などを伴う場合があります。
3.結膜炎を合併する場合があります(目の充血、目やに、目の痛みなど)。
ヘルパンギーナ
原因はコクサッキーウイルス(A16型、A6型、A10型など)です。高熱を伴うことが多いですが2〜3日で解熱します。咽頭(喉の奥のほう)に水疱がたくさん出来て痛みが強いです。これが原因で乳幼児の場合には食欲が大きく低下する場合があります。出席停止期間などはなく解熱して体調が良ければ登園は可能です。
主な症状
①発熱(急激に高熱を発することが多い)1〜4日程度
②口の奥のほうにできる水疱性口内炎
手足口病
原因はコクサッキーウイルス(A16型など)やエンテロウイルス(71型など)です。手や足の楕円形の小水泡、頬の裏側や舌に広がる水疱性の口内炎が特徴です。発熱は37度台から高熱まで流行しているウイルスの種類や株によって異なります。およそ2〜3日で解熱します。発疹は1週間程度持続しますが、解熱後に食欲があり、体調が良ければ登園は可能です。解熱後もしばらくは糞便などにウイルスが存在しますから、オムツ替えなどの際には手洗いなどを丁寧に行って下さい。
ヘルパンギーナと手足口病は原因ウイルスもほぼ同じで症状も類似することが少なくありません。仮にヘルパンギーナと診断されていても、発熱翌日頃に発疹が出現して手足口病と診断が変わることも少なくありません。
ヘルパンギーナや手足口病でできた口内炎が痛くて食事や水分が上手く摂れない場合、柑橘系のジュースなどしみるような飲食物を避けて(牛乳などは比較的飲みやすいです)、食事はなるべくさらっと喉を通るようなもの、小さく刻んで飲み込みやすいものを中心に与えてください。痛みが強い期間はそれほど長くはありませんから、プリンやゼリー、アイスクリームなどを与えて水分や糖分補給を行うのも良いと思います
主な症状
①発熱1~4日程度(微熱や発熱を認めない場合も多いです)
②手、足と口の中の粘膜に水疱性発疹をきたす
ヘルパンギーナや手足口病でできた口内炎が痛くて食事や水分が上手く摂れない場合、柑橘系のジュースなどしみるような飲食物を避けて(牛乳などは比較的飲みやすいです)、食事はなるべくさらっと喉を通るようなもの、小さく刻んで飲み込みやすいものを中心に与えてください。痛みが強い期間はそれほど長くはありませんから、プリンやゼリー、アイスクリームなどを与えて水分や糖分補給を行うのも良いと思います。