●MERSコロナウイルス感染症とは?
2012年に初めて確認された新しいウイルス感染症です。主として中東で患者が発生しています。ヨーロッパや北米、アジアでも患者の発生がありますが、全て中東で感染した患者、あるいはその患者からの2次感染例です。ラクダとの接触で感染する可能性があると言われますがいまだ詳細は不明です。人から人への感染もあり得ますが、家族や医療従事者など濃厚に患者と接触した症例が大半で、インフルエンザのような大流行は生じないと考えられています。
●症状
主な症状は咳、発熱、呼吸困難など呼吸器症状です。時に嘔吐や下痢といった消化器症状を伴います。MERSコロナウイルスに感染しても症状の現れない方(不顕性感染)や、軽症で経過する場合もあります。特に高齢者、免疫不全や慢性肺疾患などの基礎疾患がある場合には重症化します。
●予防と治療
ウイルス感染症で抗生剤などは無効です。発症した場合は対症療法を行います。現在のところワクチンも存在しません。手洗いやうがい、マスク着用など一般的な感染症予防で感染を防ぐことができます。
●感染が疑われた場合には
帰国時に発熱や咳などの症状がある方は、空港内等の検疫所へご相談ください。帰国後14日以内に、発熱や咳などの症状がみられ、最寄りの医療機関を受診する際は、事前に医療機関に連絡の上、中東をはじめとする流行地域に滞在していたことを告げてください。症状がある間は、他者との接触を最小限にするとともに、咳エチケットを実行してください。